レポート
5/11 ツール・ド・熊野Stage4 ベンジャの総合4位をチームワークで堅守
2025年5月12日
2025年5月11日に行われたツール・ド・熊野 第4ステージのレースレポートです。
最終ステージの舞台となった和歌山県東牟婁郡・太地町は、古式捕鯨発祥の地として知られ、今もなおその歴史と伝統を色濃く残す「くじらの町」。この日は、起伏に富んだ太地半島を駆け巡る10kmのコースを10周回する、全長104.3kmのレースが行われた。
前日の第3ステージを終えた時点で、VC FUKUOKAのエース・ベンジャは総合4位。総合3位との差はわずか4秒、さらに同タイムで5位の選手も迫るという大混戦の状況。
この日2回設定されたスプリントポイント、そしてフィニッシュ地点でのボーナスタイムの行方が、最終的な総合順位を左右する鍵となりました。そのため、レース序盤から各チームがタイムボーナスを狙って積極的に動く展開に。
VC FUKUOKAは、ライバル選手のボーナスタイム獲得を阻むべく、スプリントポイントが設定された2周目で阿部が集団前方に姿を見せ、前での攻防に加わる。
中盤には5名による逃げが決まり、集団もこれを容認。最大で1分ほどのタイム差をつけたまま、逃げグループは終盤まで粘った。
繰り返されるアップダウンによってコース上の人数は徐々に絞られる中でも、ベンジャとジェラールはしっかりとメイン集団内で位置取りをキープ。
そして迎えた最終周回、下り区間でベンジャが少人数での抜け出しを図り、総合ジャンプアップとステージ優勝を狙う動きを見せる。果敢な仕掛けだったが、スプリント勝負に持ち込みたい各チームの追撃により吸収。
勝負はそのまま集団スプリントへ。今大会すでに2勝を挙げていたドゥシャン・ラヨヴィッチ選手(ソリューションテック)が、最後も圧巻のスプリントで3勝目を飾りました。
ベンジャはメイン集団内でフィニッシュし、総合4位をキープ。惜しくも表彰台には届きませんでしたが、ジェラールとともにレースを積極的に動かし、阿部・木村・奥田らアシスト陣の力強いサポートを受けながら、チームとして最後まで戦い抜いたステージとなりました。
総合表彰台にはあと一歩届きませんでしたが、チーム一丸となって総合順位を守り抜き、UCIポイントも獲得。4日間を通して、VC FUKUOKAはその存在感をしっかりと示すことができました。
現地での声援、そしてライブ配信のチャットなどを通じて寄せられたたくさんの応援、本当にありがとうございました!
🏁ステージリザルト(トップとのタイム差)
✅ベンジャミ・プラデス 13位(+0:00)
✅ジェラルド・レデスマ 16位(+0:00)
✅奥田 和人 DNF
✅阿部 源 DNF
✅木村 純気 DNF
🏁個人総合順位(トップとのタイム差)
✅ベンジャミ・プラデス 4位(+0:55)
✅ジェラルド・レデスマ 15位(+2:10)
レース後のコメント
ベンジャミ・プラデス
今回のツール・ド・熊野は、VC FUKUOKAにとって良いレースになったと思います。
特にこのレースではタイムボーナスが非常に重要でしたが、第1ステージで3位に入れたことで、総合上位に踏みとどまることができました。
第3ステージでは、最終スプリントに備えて集団を減らす動きを試みましたが、2人が先行してしまい、思うようにはいきませんでした。
ジェラルドが差を詰めようと大きく貢献してくれましたが、届かず、私はスプリントで4位。あと一歩、重要な秒差を削れませんでした。
最終日もボーナスタイムを狙って動きましたが、ポジションが上手く取れず苦戦しました。
それでも、レースを通じて常に競争力を発揮できたこと、日本人選手たちの成長、そしてジェラルドの活躍に満足しています。
最優秀新人賞は取れませんでしたが、彼は間違いなく最も強い若手ライダーの一人だったと思います。
応援、本当にありがとうございました。次はツアー・オブ・ジャパン、またお会いしましょう!
ジェラルド・レデスマ
今回のツール・ド・熊野は、私にとって日本のレースでの初めての経験でした。何度もチャレンジし、ベンジャや自分のためにボーナスタイムを狙ってフィニッシュラインを目指しましたが、総合成績で表彰台に届くにはあと数秒足りませんでした。
それでも、ステージ優勝や総合上位をチームとして本気で狙える力があることを示せたので、私たちはとても満足しています。
ベンジャは、常に全員にチャンスを与える素晴らしいリーダーであることを証明しました。このツール・ド・熊野では、彼がチームのために毎レース全力を尽くしているその努力に報いるために、私自身も力を出し切りました。
来週のツアー・オブ・ジャパンも非常に厳しいレースになると思いますが、私たちはステージ優勝と総合順位を狙って戦うつもりです。
個人的には新人賞ジャージを獲ることが夢ですが、それはあくまで二の次で、まずはチームのステージ優勝のために貢献したいと思っています。
阿部 源
4日間にわたり、応援・サポート、そしてご支援頂いた皆様ありがとうございました。
今回の熊野は、比較的若いメンバー且つ初めての出場する選手が多く参加しました。エースに対してどれほどのサポートができるのか、不安もある中での挑戦でした。
完璧なアシストとは言えなかったもののレース前やレース中のコミュニケーションを重ね、それぞれが自分にできる最大限の働きをしてくれたと思います。最終局面でのアシストが不足してしまった点は私たちの実力不足です。
そのような中で結果に繋げてくれたベンジャには心から感謝しています。ジェラルドも自分の結果を捨てアシストに徹してくれてありがとう。また、自分が任された役割を果たせなかった場面ですぐに対応してくれたチームメンバーにも深く感謝しています。
重要なレースはまだまだ続くので、一戦一戦を大切にこれからも全力で戦っていきます!
木村 純気
まずは、4日間沢山の応援ありがとうございました。最終日はDNFとなってしまいましたが、皆様のおかげでなんとか4日間走り切る事が出来ました。
今回のステージレースは、ハードなコースレイアウトの中アシスト組は何をするべきか明確に決め、チーム全体でコミュニケーションも取れていたので終始雰囲気は良く、まとまった走りは出来たと思います。
直接的な結果には上手く結びつける事は出来ませんでしたが、改善する点はしっかり改善していき少しずつでも個人、そしてチームとして成長出来ればと思います。
個人的には第2ステージの落車の影響で思っていたより体にダメージが来ており、第3、4ステージは上手く走る事は出来ませんでした。
自分が苦戦する中、ベンジャとジェラルドは最前線で戦っていて、非常にレベルの高い戦術などをアドバイスしてもらい良い経験になりました。
またすぐTOJがあるのでしっかりコンディションを整えて再チャレンジしたいと思います。会場で皆様とお会いできる事を楽しみにしています!!
奥田 和人
4日間沢山の応援 サポート走りやすい環境を作ってもらいありがとうございました。
初ステージレースだった事もあり、かなり不安でしたが1日1日得られる事があり今後にも活かせる様なレースでした。
言われた通りのアシストが出来ないことが大半でしたがそれでも表彰台や総合上位を取ってくれるベンジャ、ジェラルドには感謝しています。
最終日まで全員が残れて雰囲気も良く次に向けて大きな経験を得られたのではないかと思います。
次のTOJでは与えられた事を全う出来る様に全力で頑張ります!
佐藤 信哉 監督
今回のツール・ド・熊野、4日間のステージレース(+1日のクリテリウムレース)が終わりました。
VC福岡は3日目までは選手たちの連携が非常に良く、エースのベンジャを中心に、アシストが役割果たし、その中で多くのことを学びました。
ベンジャは戦略家で適切な状況判断で常にチームに結果をもたらしてくれますが、今回は、ジェラルドをはじめとしたアシストの動きもよく、昨年以上にアグレッシブな走りを観ることができました。
ジェラルドは自身のU23ジャージがかかっていましたが、全く躊躇することなくチームプレーに徹し、チームとして一体感のある走りができたことを誇りに思います。
レースを開催・運営いただいた主催者の皆様、コース沿道で温かく迎えてくださった地域の皆様、そして連日大きな声援を送ってくださったファンの皆様に、心より感謝申し上げます。
チームはまた1週間後に開幕するツアー・オブ・ジャパンへ向けて準備を開始します。
国内最長のステージレースでさらなる飛躍を目指しますので、引き続きご声援よろしくお願いいたします!
フォトギャラリー
Photos: Kensaku Sakai